可望而不可即

思う事が色々と。

剣道

Youtubeを見ているとあなたへのおすすめに

『最強!九州学院の稽古』的なのがウジャウジャ出てくる。

九州学院とか島原とか佐野日大とか東奥義塾の稽古とか玉竜旗の試合をここ数日見ている。

強豪校の練習とか見てるだけで辛そうで胃が痛くなるし、試合の足捌きとか完全に動きが人間辞めてるレベル。


俺も一応は剣道部だった。

強豪校でも何ともないし、そもそも団体戦ギリギリ組めるくらいの部員しかいないし、やる気も無かった。 殆どサボっていたと言える。


何故か最近、剣道部の事を思い出す。


中高一貫だったのだが中学に剣道部は無くて高校から始めた。

俺は元々、運動神経も全くないし、体力も無い。

おまけに貧血で卒業式の予行練習とか全校集会でぶっ倒れるのも普通にあった。

中学の頃は色々あって部活も辞めた。

高校生になって何故だか剣道がやってみたかった。

精神的に強くなれるのかもしれないと思ったから。

完全にイメージなんだけど笑


顧問の先生が技術科だったから授業終わりに先生に剣道やってみたいと言ったら早めに部活に入らせて貰った。


練習内容はキツかった。 世間的に見ればかなり楽だし緩いとは思う。 けど何度も死にかけた。

掛かり稽古。 とにかく地獄。

先生との地稽古で突きを外されて鎖骨ら辺が裂けた瞬間が一番嫌だった。


高校から入ってきた友達が同じ中学受験の時の塾の友達だったのが奇跡過ぎた。

後はコンピューター部と掛け持ちしてくれた友達。

男子の同期3人しかいない感じだった。

3人で頑張れて良かった。

二個上の先輩の代はめちゃくちゃ凄くて、しかも強くて優しい先輩だった。

一個上の先輩は女の先輩一人しかいなかったけど、稽古も真面目で勉強もめちゃくちゃ頑張ってて尊敬する先輩で本当に本当に大好きだった。


対して俺はどうかと言うととにかく稽古が嫌だった。速攻投げ出したいと思った。 如何にバレないように手抜いたり、休んだりするかに必死だった。バレてるけど。

先生は謎のタイミングでブチ切れたりするし、稽古の時はめちゃくちゃ怖いし、殺されるかと思った時もあった。

けど、あんまり怒られた思い出が無い。

怒られるレベルまで到達してないから。

高校から剣道を始めた時点で中学上がりの人には到底及ばないし、お粗末な練習とやる気だから試合なんか勝てるわけがない。

公式戦は一回も勝てなかった。

試合に勝ったのなんて10回無いくらい。

最後の団体の公式戦で一本取ったのに反則二回して引き分けにして先生にガチギレされたのが多分人生で1番他人にキレられた出来事。


そんなこんなで嫌々、毎日辞めたいと思いながら過ごしていた。

遠征に行くために防具担いで朝5時ぐらいに電車に乗ったり、友達と稽古する日を談合してサボる日決めたり、掛かり稽古辛過ぎてガチ切れしたり、友達が木刀で卓球ボール打ってたら体育顧問に見つかって部停にされかけたり、稽古着に着替える時にやりたくねーって愚痴りあったり云々

今思えば良い思い出。

やってる最中は辛くて仕方ないんだけど。


でも、どうしても剣道が嫌になって、受験勉強に専念したいから辞めたいと先生に言った。高2の頃。

今でも絶対忘れない。

『お前今まで何を成し遂げた?? まだ何も成し遂げてないぞ 勉強に集中するのはいいけど辞める必要は無い。 ここでお前中学の時みたいにまた逃げるのか?』

先生に言われた時泣いた。

不甲斐無いなぁって。

今まで何一つ成し遂げてないなぁって思ったら情けなくて泣いた。

結局、この一件で辞めるのは踏み留まるんだけど、その話以来剣道に打ち込むようになったとはならなかった。

前と同じように嫌々、サボってテキトーに最後まで続けた。


先生も本来は厳しいけど、情熱的で稽古も一緒にしてくれる。だけど俺の舐めた態度見続ける内にあんまり怒らないし、一緒に稽古もしてくれなくなった。

総体前最後の稽古とか通例、めちゃくちゃ厳しいのだが、俺らはそんな事はなく終わった。

高3は総体前は最後だし頑張ろうとなるはずだが、俺は受験勉強するとかゴミみたいな理由でサボりまくった。

思えば高1の時が一番強かったかもしれない。


最後の総体、団体戦は出ないで、個人戦だけ出た。


最後の試合の相手が、高2くらいの上段の子だった。

普通に負けた。 当然なんだけど。

なんで俺の最後の試合がこんなよくわからない上段なんだよ…せめて中段でやれる事やって負けたかったと思った。

全く自分のしたい剣道は出来なくて、俺の三年くらいの剣道は無駄だったなぁって思うと泣いた。

試合に負けて始めてガチ泣いた。

情け無いなぁ、もっと頑張れば良かったなぁって思った。


先生の最後の言葉で、

『お疲れ様、お前らはあんまり頑張んなかったな笑』って言われた。

そりゃそうだけど、言われるとショックだった。


同時に

『お前は剣道頑張れなかったって思ってるし、そうかもしれないけど、 それなら勉強で取り返せばいい。 剣道で頑張れなかった分、勉強で頑張る。 そういう考えもある』って言われた。


この言葉があったから本当に救われた。

皮肉な事で、剣道で頑張らなかったからこそ死ぬ気で受験勉強を頑張れた。


結果的に満足のいく大学に入れたし先生のお陰で勉強を頑張れた。



だからこそ、今になってもっと頑張れたらって思う。

戻ってやり直したいかと言われたら絶対嫌だが。


先生は生徒からの評判も悪いし、よく分からないところでキレるけど、俺の事を気にかけてくれて、何とか俺のことをちゃんとさせようとしてくれていたと今になって思う。


だから、先生に途轍もなく悪い事をしてしまった罪悪感を今も引きずっている。


Youtubeで剣道の動画見て、こんなにも身体が動けるなら剣道が楽しくて仕方ないんだろうなぁって思った。 その境地を体験してみたい。

無性に剣道をしたくなる時がある。

やる勇気はもう無いし、やりたくないのだが。


俺にとって剣道は人間形成の道にはならなかった。

何が身についたかと言えば逃げグセだ。

バイト辞めたいって直ぐに思ったり、サークル辞めたり、楽な方向へ楽な方向へと行こうとする。

剣道を通して強い精神と人間性を手に入れたかったが事態は正反対に終わった。


先生に言われた、

お前はまだ何も成し遂げてない、また逃げるのか? の言葉が今も事ある毎に思い出す。

傷になって浮かび上がる。

×

非ログインユーザーとして返信する