可望而不可即

思う事が色々と。

風俗行ったら人生変わった話④

いつかやってみたいと絶えず妄想していた事があった。

ゆめちゃんに懇願した。

『あの…バックやってみたいです…』

『やりたいの?? いいよー』

きっと早く終わらせたいのに、サービス精神旺盛だなぁと感謝した。


中に入れた瞬間に電流が流れた感覚に襲われた。

今までの体位とは明らかに違う…

こればかりは完全に筆舌に尽くし難い。

出し入れする毎に卑猥な音がした。

今俺はAVと同じ事をしている… 果たしてこれは現実なのか?

実は夢ではないかと錯覚する。


さらにゆめちゃんが今度はお尻をあげてきた

同じバックなのに違った感覚を覚える。

ここまでしてくれる女の子がいたとは…

お金で愛は買えると心から思った。


ここである事に気付いた。

前の記事で述べた通り、この部屋には鏡が貼られてあった。

鏡越しに自分が女の子と行為に及んでいる光景を目の当たりにする。

自分という存在から離脱してかけ離れた場所から事のあらましを見ているような錯覚。



無我夢中で腰を振る自分がそこに居たはずだ。


フィニッシュはやはり騎乗位が良かったので再三リクエストをした。

ゆめちゃんの動きが早くなる。

時が経つごとに快感の度合いも比例した。

出し入れする速さも上がる。

喘ぎ声が大きくなる。

ここで俺は悟った。 喘ぎ声は多分演技なんだろうと。

女性は多分盛り上げるために、気持ちを乗せるためにやっているのだろうと。

快楽の為に理性を放棄し、無我夢中で体を動かす自分。

あからさまな行動を冷静に分析し、悟る自分。

相反する存在がそこには同居していた。






我慢出来ずに遂に中で果てた。

暫く絶頂で動く事すらままならなかった。

手慣れた様子でゴムを抜いて縛るゆめちゃん

賢者モードを吹き飛ばすありえない言葉が俺の脳天を突き破る。





『お兄さん! 記念にコンドーム持って帰る???』




この人は何を言っているんだ??



『流石にいらないですよ!!』

意識が飛んでいたが、この言葉だけはしっかりと口から発した。



こんなあり得ない会話で初体験は終わりを迎えた。


一通り終わりベッドの端に座った。

ゆめちゃんが徐に冷蔵庫に向かう。

爽健美茶を出してくれた

喉の渇きを癒した。 心なしか甘く感じた、桃のように甘い。

ゆめちゃんはルイボスティーを紙パック(500ml)ごと飲んでいた。

よくルイボスティーなんか飲めるなぁ… 俺の一番苦手なお茶だ。



『お兄さんタバコ吸ってもいい?』

と聞きながらも既にタバコに火をつけ始めていた。

メビウスの緑だった。


鏡には、やり終えてベッドに座る全裸の二人。

映画に出てくるようなシーンだ。

夢のような現実にひたすら酔いしれる。







『それでお兄さんさぁ 大丈夫? 何があったの? 何でそう病んでるの?』


カウンセリングが始まった。

精神までも綺麗に洗い流してくれた



自分の醜い容姿への怒りと周りへの嫉妬、僻み、日々感じる疎外感。

他者にとっての何者にもなれない絶望

俺がいなくても誰も困らない、どうでもいい存在と化している現状への不満がそもそも風俗へと駆り立てた。


『お兄さん髪切ったら? 似合うと思うよ』

『お兄さん真面目だけど、本当は大学とかにいる派手なチャラい系の男の子になりたいんでしょ?? でもそれが出来ないから満たされない気持ちがあるんでしょ? そういう男の子はね、考えてないよ! 気になる女の子がいたら何も考えないでアタックするし、無理でもなんも気にしないんだよ! お兄さんは考え過ぎなんじゃない? 気楽にやってみてもいいと思うよ! あと謝らなくていいんだよ? 謝る癖を変えてありがとうを癖にした方がいいと思うよ!』



何故何にも話してないのにこの人にはお見通しなんだろう?

一字一句が腑に落ちる。

これ程までに、アドバイスをしてくれた人間がいただろうか?

ヤるだけが仕事じゃないんだろうなぁ…

他人を見つめて、同じ目線に立って答えをくれた。

この事実が何より来てよかったと心から思えた要因だ。


『お兄さんモテると思うよ? バーによく行くんだけど、お兄さんいたらアタックするよ笑』


お世辞も上手い。


『この前バーに行ったら5万円スられたんだけど! 5万円とか私が一日働いて貰えるお金だよ!!』


反応の仕様がない()


ここで今更ながら年を聞かれた。

19歳ですと答えると、


『私実は22なんだよねー 』

とカミングアウト


『風俗はみんな年齢詐称してるよ? 25より上はみんな30代だよ?

若い子がいいなら18の子とか選んだ方がいいよ!』


こんなアドバイスは求めてない…


最後にどこ出身か聞いたら、大阪に住んでるとの事

出稼ぎで沖縄に来たらしい。

瞳に隠された闇ゆ垣間見た気がした。



遂にあと五分だ。

夢から覚める。

日常という悪夢が目覚める。


『シャワーいきましょう?』


終わらせたくない気持ちが足取りを重くした。


再びいい匂いのするソープで体を洗ってくれた。

ヤリ終えたのにまた反応してしまった。


『まだ立ってるの笑? 若い人は元気だねー』

軽くいじってくれた。

この感触も、もう二度と味わえないのだろうなぁ…

タオルを再び渡され、体を拭いた。

電話を取り出し


『お客様お帰りです。 』

ちょうど70分経った。


夢の終焉。

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