可望而不可即

思う事が色々と。

魔法つかいプリキュア雑感

魔法つかいプリキュアを見終わった。

結論から言えば良かった。

85点でずっと足踏みしている感じ。


以下、雑感。


良い所

・楽曲

OP.EDともにプリキュアシリーズには珍しいトリッキーなメロディ。 俗に言うスルメ曲。

ED2の魔法アラ・ドーモ!はヒャダインが作曲してるだけあって音使いが独特で聴いてて面白い。 3Dのモフルン可愛すぎる。

・フォームチェンジ

プリキュアシリーズは初代、S☆Sを除いて4.5人チームなのが通例なのだが、まほプリは珍しく三人編成。

人数が少ない分物足りなさが否めないが、今作はダイヤ、ルビー、サファイア、トパーズの四つのフォルムがあって戦闘シーンが面白かった

特にトパーズスタイルのテクニック重視の戦い方は見ててとても面白い。

一番好きなのはルビースタイルなのだが。キュアミラクルのツインテールめちゃくちゃ萌えって感じだ。

・脇役の描き込み

前述の通り、今作は3人編成。人数を絞ったおかげで日常の描き込みが良く出来ていると感じる。というか全話日常回のノリみたい。その点スマイルプリキュア!と似ているのだがスマプリの個人への描きを薄めた感じだろうか。

魔法学校のクラスメイトの面々、津奈木中のクラスメイトの面々、チクルンなどこれらの対象の回がしっかりあって話に深みを与えている。

ジュンの夢を追う心意気や、かなの自分の考え、思いを大切にする事、チクルンの葛藤、そしてまゆみの恋愛回は今作で一番好きかもしれない。

50話という制限の中で比較的脇役の盛り込みが出来ているように感じた。

また、夏休み、ハロウィン、クリスマス、誕生日、生徒会選挙などの行事も網羅していて全編日常回といった感じが見受けられる。

・モフルン

とにかくモフルンかわいい!!大好き!!!

NHKのプリキュア総選挙キャラクター部門1位は伊達じゃ無い。

何だこの可愛すぎるクマさんは…。

声が可愛いし、みらいとリコの仲を取り持ったり、はーちゃんへのフォローも出来ていて、本当によく出来たクマさんだなぁ…。

実質4人目のプリキュア。実際映画ではキュアモフルンになるのだが。

モフルンがいないとみらいとリコは変身出来ないし、完全にこの作品にいないと成り立たない。

俺のミッフィーもモフルンみたいに喋るようにならないかなぁ…。

モフルン好き過ぎてひたすらモフルンLINEスタンプ使ってる。



微妙な所

・使命が無い

プリキュアの大前提として、妖精界が敵勢力によって壊滅、あるいは危機的状況に陥って、それを打破するために人間界に舞い降りてプリキュアになってくれる女の子を探す、女の子がプリキュアになる事を選び取って敵勢力と戦う。という話の大枠がある。

三人編成や敵勢力が二つなど随所にプリキュアシリーズの通例を破る取り組みがなされているのが今作の大きな特徴だが、特に使命の無いプリキュアという点は諸刃の剣だと思われる。

良い点は前述の通り、プリキュアは襲ってくる相手に対して防衛をすれば良いだけなので、50話という制限の中で日常回の描き込みが物凄くされているといった点だ。

逆に悪い点としては、感情移入がまるで出来ない点だ。

使命が無いという事は、妖精界の生活や守るべきものに対して、それを奪おうとする敵勢力との戦いを通した主人公の成長や、物語としての白熱さが感じられないという事にもなる。

何故85点で足踏みしているのかはこれが理由だ。

今作を通じて言いたい事やメッセージ性、敵勢力との対決を通しての主人公の成長、これらがあまり感じられない。


・敵組織

前述の通り敵組織が今作には二つ登場するがその意味が全く無いように思える。

悪としての敵勢力にも理由があり、勧善懲悪では片付けられないイデオロギーのぶつかり合いもプリキュアの醍醐味なのに今作はそれが皆無と言っていい。

最初に登場するドクロクシーの面々はリンクルストーンエメラルドを手に入れて世界を支配したいだけの理由でそこに深い意味も無い。 次に登場するデウスマストの面々も世界を混沌に陥れるといった抽象的な目的だ。

プリキュアが何のために戦っているのかがよく分からない。

更に敵勢力が二つのためシリーズを通した敵側の考えの理解が出来ない。さらに登場人物が多過ぎて把握するだけで精一杯で多い理由が全く感じられない。

前半だけでもバッティ、ガメッツ、ヤモー、スパルダ、ドクロクシー

後半は、オルーバ、ベニーギョ、ラブー、シャーキンス、デウスマスト

こんなに多い…。 名前を覚えるだけで精一杯だ。


・キュアフェリーチェが強過ぎる、敵組織が弱過ぎる

プリキュアシリーズにありがちなのが追加戦士がやたら強い点だが、今作はそれが甚だしい。

キュアフェリーチェはかつてデウスマストと戦った伝説の魔法つかいの意思を継ぐ者といった設定だからかめちゃくちゃ強い。

後半はひたすらフェリーチェ無双でことはが真の主人公になってしまっている。

あとピンクトルマリン使い過ぎで見てて飽きる

これに加えて敵組織が弱過ぎる。

ラスボスのデウスマストが10分で瞬殺されたのは見てて笑った。

通例2、3話使う最終決戦なのに。

これではプリキュアが自身の持つ守りたいもののために死ぬ気で戦う物語としての熱さやそのメッセージの重さがまるで無いため作品としての浅さが出てしまっていると言わざるを得ない。

商品販促のために物語の後半になると追加アイテムが出る。例に漏れず今作も登場するがこのレインボーキャリッジが強過ぎる。どんな相手も瞬殺するし、もうずっとレインボーキャレッジ使っとけよ…。



・結論

この作品で何より重視されている事は他者と繋がることは自分の人生を豊かにするという事だ

変身シーンや、必殺技、ピンチの時など随所にみらいとリコが手を繋ぐ描写が描かれている。

魔法界出身のリコと人間界出身のみらいが互いの考えや生活を理解し認め合う事で自分自身の視野、考えを広げていく様子が見てて分かる。

お互いの仲も回を追うごとに深まって行きその過程も非常に分かりやすく描かれている。

加えてことはやモフルンがいる事で4人があたかも家族のように互いを信頼し、日々の生活を楽しんでいる。

4人の日常は非常に微笑ましく、毎回毎回見るのが楽しみなものにしている。

使命が無い事、敵組織が無いこと、脇役の描き、日常の重視といった点から鑑みて分かることは、この作品は個人としての心の葛藤や成長をしっかりと描くというよりは、仲間、日常、他者といった大枠を通して自己の成長を伝えたいという点だ。

他者と関わることは同時に傷付いたり、傷つけたりする事にも繋がる。このようなメッセージ性は無くてただ他者との関わりのポジティブな側面が強調されているように見受けられる。


物語としてのメッセージ性、話の深みは比較的少ないが、全体的に小さくまとまっていて完成度も高いし、キャラデザイン、楽曲、脇役が丁寧に描かれていて面白かった。話全体としての安定感が高い。またプリキュアシリーズの慣例を破っていてそれが今作の独特な仕上がりとなっている。

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