可望而不可即

思う事が色々と。

風俗行ったら人生変わった話 終

部屋を出る。

薄明かりだった空が暗い闇へと変わっていた。

闇のような日々がまた始まる。


最後にハグをしてくれた。

暖かい温もりを最後に味わう。

こんな幸せな事を、日々享受出来る人達が羨ましい


『初めてがあなたで良かったです。 ありがとうございました。』

礼を言った。



『こちらこそありがとう お兄さんカッコいいからサービスしちゃった笑』

再びハグをしてくれた。


どこまでも優しい。 無私の姿勢に感服した。


離れたくなかった。 もうこの状態で死にたい。

これ以上幸せなことが人生であっただろうか? この先あるのだろうか?

お金で買った愛に包まれてこのまま死にたかった。


『じゃあね。 またいつか会えるといいね』



そのいつかは二度と訪れないという現実を同時に突きつけられた。




現実への階段を降りる。


最後まで手を振ってお見送りしてくれた。










ゆめちゃんにゆめを見させて貰った。

一時間程の夢

1/168000の夢


今日も現実という悪夢を見る。

風俗行ったら人生変わった話④

いつかやってみたいと絶えず妄想していた事があった。

ゆめちゃんに懇願した。

『あの…バックやってみたいです…』

『やりたいの?? いいよー』

きっと早く終わらせたいのに、サービス精神旺盛だなぁと感謝した。


中に入れた瞬間に電流が流れた感覚に襲われた。

今までの体位とは明らかに違う…

こればかりは完全に筆舌に尽くし難い。

出し入れする毎に卑猥な音がした。

今俺はAVと同じ事をしている… 果たしてこれは現実なのか?

実は夢ではないかと錯覚する。


さらにゆめちゃんが今度はお尻をあげてきた

同じバックなのに違った感覚を覚える。

ここまでしてくれる女の子がいたとは…

お金で愛は買えると心から思った。


ここである事に気付いた。

前の記事で述べた通り、この部屋には鏡が貼られてあった。

鏡越しに自分が女の子と行為に及んでいる光景を目の当たりにする。

自分という存在から離脱してかけ離れた場所から事のあらましを見ているような錯覚。



無我夢中で腰を振る自分がそこに居たはずだ。


フィニッシュはやはり騎乗位が良かったので再三リクエストをした。

ゆめちゃんの動きが早くなる。

時が経つごとに快感の度合いも比例した。

出し入れする速さも上がる。

喘ぎ声が大きくなる。

ここで俺は悟った。 喘ぎ声は多分演技なんだろうと。

女性は多分盛り上げるために、気持ちを乗せるためにやっているのだろうと。

快楽の為に理性を放棄し、無我夢中で体を動かす自分。

あからさまな行動を冷静に分析し、悟る自分。

相反する存在がそこには同居していた。






我慢出来ずに遂に中で果てた。

暫く絶頂で動く事すらままならなかった。

手慣れた様子でゴムを抜いて縛るゆめちゃん

賢者モードを吹き飛ばすありえない言葉が俺の脳天を突き破る。





『お兄さん! 記念にコンドーム持って帰る???』




この人は何を言っているんだ??



『流石にいらないですよ!!』

意識が飛んでいたが、この言葉だけはしっかりと口から発した。



こんなあり得ない会話で初体験は終わりを迎えた。


一通り終わりベッドの端に座った。

ゆめちゃんが徐に冷蔵庫に向かう。

爽健美茶を出してくれた

喉の渇きを癒した。 心なしか甘く感じた、桃のように甘い。

ゆめちゃんはルイボスティーを紙パック(500ml)ごと飲んでいた。

よくルイボスティーなんか飲めるなぁ… 俺の一番苦手なお茶だ。



『お兄さんタバコ吸ってもいい?』

と聞きながらも既にタバコに火をつけ始めていた。

メビウスの緑だった。


鏡には、やり終えてベッドに座る全裸の二人。

映画に出てくるようなシーンだ。

夢のような現実にひたすら酔いしれる。







『それでお兄さんさぁ 大丈夫? 何があったの? 何でそう病んでるの?』


カウンセリングが始まった。

精神までも綺麗に洗い流してくれた



自分の醜い容姿への怒りと周りへの嫉妬、僻み、日々感じる疎外感。

他者にとっての何者にもなれない絶望

俺がいなくても誰も困らない、どうでもいい存在と化している現状への不満がそもそも風俗へと駆り立てた。


『お兄さん髪切ったら? 似合うと思うよ』

『お兄さん真面目だけど、本当は大学とかにいる派手なチャラい系の男の子になりたいんでしょ?? でもそれが出来ないから満たされない気持ちがあるんでしょ? そういう男の子はね、考えてないよ! 気になる女の子がいたら何も考えないでアタックするし、無理でもなんも気にしないんだよ! お兄さんは考え過ぎなんじゃない? 気楽にやってみてもいいと思うよ! あと謝らなくていいんだよ? 謝る癖を変えてありがとうを癖にした方がいいと思うよ!』



何故何にも話してないのにこの人にはお見通しなんだろう?

一字一句が腑に落ちる。

これ程までに、アドバイスをしてくれた人間がいただろうか?

ヤるだけが仕事じゃないんだろうなぁ…

他人を見つめて、同じ目線に立って答えをくれた。

この事実が何より来てよかったと心から思えた要因だ。


『お兄さんモテると思うよ? バーによく行くんだけど、お兄さんいたらアタックするよ笑』


お世辞も上手い。


『この前バーに行ったら5万円スられたんだけど! 5万円とか私が一日働いて貰えるお金だよ!!』


反応の仕様がない()


ここで今更ながら年を聞かれた。

19歳ですと答えると、


『私実は22なんだよねー 』

とカミングアウト


『風俗はみんな年齢詐称してるよ? 25より上はみんな30代だよ?

若い子がいいなら18の子とか選んだ方がいいよ!』


こんなアドバイスは求めてない…


最後にどこ出身か聞いたら、大阪に住んでるとの事

出稼ぎで沖縄に来たらしい。

瞳に隠された闇ゆ垣間見た気がした。



遂にあと五分だ。

夢から覚める。

日常という悪夢が目覚める。


『シャワーいきましょう?』


終わらせたくない気持ちが足取りを重くした。


再びいい匂いのするソープで体を洗ってくれた。

ヤリ終えたのにまた反応してしまった。


『まだ立ってるの笑? 若い人は元気だねー』

軽くいじってくれた。

この感触も、もう二度と味わえないのだろうなぁ…

タオルを再び渡され、体を拭いた。

電話を取り出し


『お客様お帰りです。 』

ちょうど70分経った。


夢の終焉。

風俗行ったら人生変わった話③

僅かに洋楽が流れている部屋。 R&Bだった気がする。

お互い体を拭き終わったら、ゆめちゃんが何も言わずにキスをしてきた。 この世に生を授かり約7000日、初めての感触。

唇が合わさった瞬間に頭が真っ白になった。 間髪入れずに舌が口の中に侵入してきた。 生暖かく、柔らかい肉感と微かな息遣いが全身に突き刺さる。 唇が離れた瞬間に思わず

『ごめんなさい、ありがとうございます…』

と口走った

『謝らなくていいんだよ? 遠慮しないでいいんだよ?』

と返ってきた。

込み上げてきた、爆発した情動で勢いのままハグをしようとしたら、

ゆめちゃんの方から抱きしめてくれた。

温かくて柔らかい感触が全身を襲った。


思えば色々あったな…何故かモテた小学生の頃、受験をして入った中高一貫校で入学早々いじめられて周りから蔑まれて、見下されて、成績も上がらず、荒んで、心の傷と無駄に大きすぎる承認欲求を得た中高時代。 女の子は誰も相手にしてくれなくて、拗らせたまま結局何も事態は変わらなかった。 だからこそ勉強だけはやらないと俺には何も残らないと必死で勉強だけをして入った大学。 結局馴染めず、友達も彼女も出来ず、昼飯も一人で家に逃げ込んで食べたり、ぬいぐるみで寂しさを慰め続けているこの現状。



いろんなことがあって 自分を嫌いになった

なぜ俺だけがこんな目に遭うと

他人を羨んだりもしたさ


だけど今この瞬間だけはもう全てがどうでもよくなった。

今のままでいいんだよ、ありのままの俺でいいんだよと言われた気がした。 もちろんゆめちゃんはそんな事1ミリも思ってないだろうし、面倒な客だと思っているだろうし、早く終わらせたいと内心は思っているだろう。


そんな事はとっくにわかってる。 金で女を買うという最低な行為をしているという事だって知ってる。

だけど今までの思いが込み上げてきてハグしている最中に、本当に、本当に、本当に、無意識に涙が出てきた。



ゆめちゃんを目の前に号泣してしまった。

困惑した顔でこちらを見てきた。 当たり前の反応だろう。

ただ今は溢れ出す涙が止まらなかった。



数分後、『ベッドいきます?』と聞かれた、

何も言わずに手を繋いで二人でベッドインした。


ベッドインするとすぐに馬乗りしてきた。 いくら女の子でも大人なだけあってかなり重かった。股下が圧迫されて苦しかったがディープキスをしてきてそれどころじゃなかった。 俺はゆめちゃんが要望を答えてくれたり、キスしてきたりする毎にありがとうございますと逐一礼を言っていたのだが

『こんなに感謝されるの初めてだよ笑 一々聞かなくていいんだよ? やりたい事いっぱいやろうね?』

と言われて萌え死にかけた。

言葉通りに何も言わないで、またハグをした。

この気もちはなんだろう

目に見えない幸せの流れが

ゆめちゃんから伝わって

俺の腹へ胸へそうしてのどへ

声にならないさけびとなってこみあげる

この人と触れていると安心感で体が脱力した。

ゆめちゃんは何も言わないで頭を撫でてくれた。


その後、押し倒されて胸を舐められた

今まで全く胸は感じなかったのに雰囲気からか脳が溶けそうな感覚に襲われた。

勢いそのままにフェラをされた。

初めての感覚。 言葉に形容し難いが、強いて言えば、温かいテンガの感触と同時に性器を微小で気にならない程度に引っ張られているような痛みを感じた。

気持ち良過ぎて下の方も舐めるようお願いしたらそれも受け入れてくれた。 終わった後に

『普通はここまでサービスしないんだよ?? でもお兄さん初めてだし、私もやりたかったからサービスした』

と言われた。 申し訳なさを感じつつも一方で本当に他人の気持ちを乗せるのが上手いなぁと感心した。

変わりますか?と言われたので上に乗った。

相変わらずおっぱいを触りつつ手マンをした。

中の感触はあったかい剥いたトウモロコシの柔らかい版を触っている肌触りだろうか、

弄っているとおよそ演技なのだろうが、とても性的情動を掻き立てるように喘ぐから演技も上手いなぁと、ある面で冷静な自分がいた。


一通り終わって35分くらいだろうか。 あと半分だ。

再び押し倒されてゴムを付けてもらった。

ゴムは黒と金のパッケージで確かピンクのゴムだった気がする

手早く装着してもらった。 ゆめちゃんが密着してきて素股をしてくれたのだが、やっている最中

『これが素股って言うやつですねー』

と何故か解説してきた。 流石に素股ぐらい知っているのだが() 仕方なく

『なるほどー ありがとうございます。』とおおよそ行為中では使わないであろう言葉で返答した。

素股も終わりいよいよ挿入の段取りである。


再三押し倒されたあと、騎乗位で奪われた。

ずっとずっとずっと求め焦がれてきた

今まで絶えず妄想してきた快楽がここにある。

想像したよりも肉体的快感は少なかった

だけど

想像したよりも温かい。

0.02ミリメートルの壁がすげーもどかしくならなかった

生暖かくてとても柔らかい肉に優しく包まれている感触


今ここで死んでも文句は無い

寧ろ快楽に包まれて幸せの絶頂の中、命を断ちたかった

こんなに幸せな事があったなんて、嬉しさで天にも昇る気分だった。


同時に

俺を嘲笑い、見下してきたみんなが、こんなに気持ちいい、幸せな事を大好きな人と日々営んできた、営んでいる事実が胸を締め付けてきた。


俺は金を払わないと、ろくすっぽこんな事を経験出来ないのか

なんだか、愛情から、慈しみから永遠に仲間外れにされている気持ちに襲われた。


幸せと哀しさを混ぜ合わせて出来た感情が全身を支配した。


その時、


ゆめちゃんが俺の顔を見つめ拍手をしてきた。

『良かったねー 卒業だよ?』

あまりにも拍子抜けする事態に、驚きながらも

『はい! ありがとうございました!』

と返答している自分がいた。


高校の卒業式で先生と生徒が交わす会話かよ


『いえいえー こんなに感謝されると私もやりがいがあるよー』


どこまでも健気だった。

哀しさはどこかに消えた。

あと数十分の幸せを享受しようと心に留めた。


ゆめちゃんが再びキスをしてくれた

完全に理性が無くなった。 ボディソープの優しい匂いに包まれて、

間髪入れずに俺の上で動いてきた。

奥に到達する度に柔らかな刺激が身体中に駆け巡る。

AVで見てた光景が眼下で行われている。

しかしながら、騎乗位は相手とのタイミングが一致しないと気持ちよくない。

相手が腰を浮かして、落とすタイミングで突かないといけないのだ。

最初は噛み合わないでガチャガチャした感じだったが、次第にタイミングが合ってきて快楽が襲う。

やはりセックスは愛の共同作業なのだろうか、、

ソープ嬢との間に愛など生まれ得ないのならこれは一体なんなのだろうか、、

何はともあれ、年上の女の子に押し倒されて騎乗位で奪われたい被虐的な長年の欲求が叶って嬉しかった。


今度は正常位

体勢が難しかった。 挿入した後に、どうすればいいですか?と聞いてしまう程だった。

『腰振ってみて?』と言われたのでその通りにしてみたら『あ、そうそう いい感じだよー』との反応。

この体勢は維持をする事が精一杯で、快楽を得ることが二の次になってしまった。

ヤる前に危惧していた早漏には幸いならなかったが今度はなかなか、いけない問題が微かに浮上した。

しかしそれは取り越し苦労だった。